前略 塀の中から・自分なりの陳情
年度末となり、在庫処分と予算を使い切る関係なのか、この時期は日頃あまり出ないレトルトなどの贅沢品が多くて食事がいつもより楽しみです。
先日母が面会に来てくれました。約5年振りに会う母は喜寿を迎え一回り小さくなりより一層年老いたように見えました。
そんな反面、頭の方はしっかりしており、私の子供の頃の記憶や逮捕された当時の心境や出来事を鮮明に覚えていて思い出話をしてくれました。
自分の息子が逮捕されたショッキングな出来事など忘れたくても忘れられませんよ、普通。
面会は終始笑顔で話しをしていたものの、別れ際に「もう会えないかも」と頭をよぎりました。
幸い私にはこのように面会に来てくれたり、差し入れをしてくれる人がいます。受刑者の殆どが家族や友人など社会の人とは疎遠となり、社会との繋がりがありません。
そんな受刑者は刑務所が全ての世界となり、所内の人間関係が全てになってしまい群れる事で安心し徒党を組んでは、悪い事をしたり、弱い者を攻撃し足を引っ張ったりし、人間関係が崩れるとケンカをしたりして工場から逃げ出す、更生とはかけ離れた行動をしてしまうのかもしれません。
ほんにかえるプロジェクトでは方針として「本の差し入れ、文通を通して社会との繋がりを作り、接点を持たせる活動」があります。昨年ボランティアスタッフのサユリさんが朝日新聞の夕刊記事で「受刑者の人達には、何があろうと見守ってくれる人がいる、自分には繋がってる人が社会にいるんだと安心を得て更生の道を進んで欲しいと思います」と語っていた通り我々もそれを望み支援してもらっています。
2023年刑法犯で検挙された人の47%が再犯者だといいます。そんな事からも、国には「再犯防止等の推進に関する法律」を施行し、各県、自治体では「再犯防止推進計画」が策定されました。
その概要は「円滑な社会復帰には安定した職業に就くこと及び住居を確保することが重要としその支援をする」とあります。
確かに職業、住居は生活をしていく上で必須ではあるもののそれだけで再犯防止となるか疑問も残る。受刑者の多くは、犯罪を犯すまでは普通に社会で一般の社会人として生活をしていました。
犯罪を犯すに至った動機は人それぞれ違いますが人間性、社会性の欠如、異常すぎる程の強欲、自分勝手すぎる思考、忍耐力の欠如、甘え、寂しさ等からくる心理的ストレスなどが犯罪を犯す大きな要因となった者が殆どだと思います。そこを改善するには人の 助けが必要となります。まずその事に気付けない。
私は再犯防止や円滑に社会復帰する為には受刑中から社会の人との繋がりを持つ事が重要であると実感し、更生には人の意見、忠告、助言が必要だとそれを望んでいました。やはり、犯罪者ばかりの狭い世界だけでは更生は困難で、良識ある方の支えがあって初めて自分と向き合う勇気が持てるのだと思います。
先に述べましたが私には幸いにも、面会や差し入れをしてくれる人がいます。ほんにかえるプロジェクトのボランティアさんも寄り添ってくれてます。
このような人達を絶対に裏切る事はできません。こう思う事もこう更生に繋がる一つです。
帰りを待っていてくれる人、社会復帰を応援してくれる人、優先すべき支援、でもあります。
しかし、社会の人が我々と関わるには相当ハードルが高く家族でさえ精神的に負担は多く、音信不通となるのが殆どで、その為社会復帰しても頼る人もなく、社会で孤立し再び犯罪に手を染めてしまうのではないでしょうか。
先日母が面会に来てくれた時に思ったのですが、面会に来てくれる人は多額の費用をかけ、1日がかりで面会にくる人もいます。
お金や本の差し入れも、費用や労力はかかります。
国は、出所者の積極的に雇用する企業(協力雇用主)には、色々と優遇処置を施していると聞いたことがあります。
又加害者家族の支援を考え議論している事も聞きました。
それを踏まえて国は立ち直り、更生支援に尽力した家族、友人、知人支援者にも優遇措置を施せば社会との断絶も避けられるのではないかと考え1つのアイデアが浮かびました。
家族、友人、知人等支援にかかった費用(面会、差し入れ)を住民税や所得税から控除する減税のしくみを導入し負担を軽減するというものです。
このしくみを導入する事で金銭面の負担は相当軽減されると思いますし、保護司さんも仕事をしながら活動している方も多く無償での活動で激務であることからなり人手不足が大きな問題となっており、現状保護司が足りない状況です。報酬を与えるなんて話も出たそうですが、新しく予算を組むより税額控除をして、多少優遇が施されればなる人が増えるかもしれません。
犯罪を犯し刑務所で税金で生かされている私が言えることではありませんが、国の再犯防止、更生保護の政策は、当事者の声を無視した机上の空論に思えてなりません。昨年6月に施行された拘禁刑も今のところ何も変らず、建前程度に教育を少し受けたぐらいです。
更生は全て自分次第ではありますが「反省は一人で出来ても更生は一人では出来ない」と言われるように、信頼でき、してくれる人の支えと安心出来る居場所は一人では作れないし一人では出来ません。
今、家族、友人、サユリさんを始めとするプロジェクトのスタッフさんが私の支えであり、安心出来る場所になってくれています。
今回の投稿が高市総理の目に止まることは不可能 ではありますが、この文章を読んでくれた人が少しでも我々の事を理解して頂けたら幸いです。
今、社会では不用品のリサイクル、リユースに注目が集まり、SDGsの推進が叫ばれていますが、いわば我々も、社会のゴミ、不用品とされ、塀の中に隔離されています。このまま社会から放置され、処分されるのを待つより更生を促しリサイクル、リユース品として再び社会の役に立つようにすれば、多少は今日本が抱える問題の解決になるかと思います。その為にも刑務所が、人間のリサイクル工場の役割を担う事も社会貢献の1つになると思います。
以前の投稿にも書きましたが「刑務所は更生する場所であり、させる場所でない」 これを拘禁刑施行でどう変化するか、我々も期待をしています。
どこか人事のように書いてしまいましたが、私が思った率直な意見です。
今、支援してくれている方には本当に感謝をしています。
その人達のおかげもあり、更生の道を歩むことが出来ています。本当に有難う御座いました。
A23さんの投稿
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年度末となり、在庫処分と予算を使い切る関係なのか、この時期は日頃あまり出ないレトルトなどの贅沢品が多くて食事がいつもより楽しみです。 先日母が面会に来てくれました。約5年振りに会う母は喜寿を迎え一回・・