ほんにかえるプロジェクト
新プロジェクト
「プリズンギャラリー」を
ご紹介いたします

この「プリズンギャラリー」の企画は、受刑者会員の「絵や書も公開して欲しい」という要望から、2023年の12月に受刑者会員に応募要項を配布し、絵画・イラスト・書を募集しました。そして応募締め切りは年を跨いでの2024年5月末、8名の応募がございました。
これらの作品は、ほんにかえるプロジェクトのボランテイアや、一般の方を含め50名の方達により投票をいただき、上位3作品、下記の入賞者に賞金をお送りしました。
そして受刑者達にも、この「プリズンギャラリー」への応募作品を見てもらうた為、冊子(下記)を作成し、昨年末に刑務所へ送付しました。

刑務所内での限られた時間と画材等で描かれた彼等の作品を、是非ご覧ください。
そして宜しければ、ご意見や感想等もいただけますと、彼等の励みにもなります。(最下部のコメントフォームからご入力を)次回の「プリズンギャラリー」への応募はこの春に、告知する予定でおります。

受刑者会員に配布した冊子
「プリズンギャラリーVol.1」

Prison Gallery

座談会

ほんにかえるプロジェクト
受刑者メンバー座談会

全国4箇所の刑務所の受刑者さんにご協力いただき、アンケートを取りました。
刑務所の中で絵を描くと言う暫しの自由。だけどそれはペンの色を規制されたり、描く時間も
決められて…それらを座談会風にご紹介。みんな離れてたって会話出来るんだよって感じにね!

↓座談会はこのページの最下部に

PRISON GARELLY1位/A343
作品名/希望(あのトランザム)
画材/水彩絵の具
作品を描いた時の心境

これは刑務所に来てすぐ落胆してふさぎ込んでいた私の目に鮮烈に飛び込んで来た、所さんのトランザム。カッコイイ!! と感じたその後ろ姿を描きたくて手掛けた。段々とボディに海が見えた気がして、ヨシと思った。ドアの青、ダックテールフィン。アスファルト、タイヤの質感。ホイールやバンパーの金属質が出せればと工夫。一番気に入ってるのはガレージの奥の暗さ加減。手前のターンテーブルは良く表現できた。フロントのアルミは2時間位かかった(笑)。所さん本人に見てもらえたら嬉しいと思う。

作品名 / GSX1100R(Twin)
画材 / ボールペン・シャーペン
作品を描いた時の心境

初めて2台並べて描いた作品。単色でどこまでいけるかと、痛みだった。プロの絵とカラーの写真を並べてモノクロに変換したけども技術云々よりその変換作業が痛かった(笑)。ぼちぼち描いて2〜3ヶ月。風防(カウル)の肌感に苦労をし、何ならムキ出しの方が簡単だとさえ思え、まあ良しかなと思う。単色では10作品目位なので、肩に力が入らずに出せたかと思う。GR400・CBR250のドライブ経験が生かせたのかも。まだまだ課題は残る作品だ。

PRISON GARELLY2位 /A337
作品名/マリリン・モンロー
画材/色鉛筆
作品を描いた時の心境

マリリン・モンローを描きました。何かの権利に抵触するかもしれません。選べられない可能性は大きいです。ですがその時の絵描きたい対象、心にしたがって愛を込めて描きました。カラフルのも好きですがモノトーンの表現はもっと好きでデッサンは得意。光と陰、白と黒の空気感”リアリティ”うまく説明できないが、そういう感じです。

PRISON GARELLY3位 /A004
作品名/故郷を思う
画材/色鉛筆
作品を描いた時の心境

この絵の恐竜は私です。近いようで遠い故郷の地球、一日も早く帰りたい。毎日この丘に立って眺めています。今はこの環境で生きて行くしか有りません。置かれた場所で一所懸命に生きるしかないと思って描きました。

作品名/わかってください
画材/色鉛筆
作品を描いた時の心境

社会で熱帯魚と金魚が大好きで飼っていました。あの優雅に泳ぐ姿を見ていると心が落ち着いたのですが、ふとあの金魚達を狭い水槽で飼っていた私は本当に金魚が好きなのか?と思ってしまいました。私が今辛く悲しい事が有り、涙を流せばすぐに気付き周囲の人達は心配するでしょう。でもあの金魚達の涙を今の私が見ること、気付いてあげる事が出来るのかなと思いました。日々自分一人の事で精一杯で近くにいる人達の気持ちを理解し、もっと思いやりを持ちたいと思いました。

参加賞/A289
作品名/白鳥
画材/水彩絵の具
作品を描いた時の心境

この絵はカレンダーの写真から描きました。白鳥と海の濃紺、海に映った嘴(くちばし)を美しく感じました。よく見ると白鳥とは真っ白ではなく少し汚れているのかとか首の丸みに光の陰があるのか、など新しい発見がありました。ほんの少し海に光が当りキラキラした感じを出したかったのですが、あまりうまくいきませんでした。外でしたらこんなときは、カッターナイフで削るようなのですが、さすがにそのようなものはなく、単に白色を重ねる程度で残念です。また遠近感を出したくて手前を濃く奥に行くにつれ淡い色相をと気を付けたつもりですが、まだまだ初心者でついつい濃くなってしまいました。この加減が難しかったです。

作品名/子犬
画材/ボールペン・シャーペン
作品を描いた時の心境

この絵は図鑑の中の写真からです。頁をめくっていて一瞬で子犬の魅力に取り憑かれました。子犬のひたむきな戻る姿を描きたかったのですが、ちょっと大人っぽい子犬になってしまいました。ゴールデンレトリバーは割と鼻筋が通っているのですが、ちょっと長かったかなとか、睫(まつげ)に光が当たった感じを白で表現したかったのですが無い方が子犬の感じが出たのかなとか、反省点もいろいろです。またバックは草色のイメージを出したかったのですが奥行きが無くなったかもわかりません。一枚一枚に描いてるときの思いや苦労、後悔があるのですが、仕上がってみると愛着がわきます。

参加賞/A058
作品名/地元愛
画材/水彩絵の具
作品を描いた時の心境

群馬県出身者ならほとんどの方が知っている”鶴舞う形の群馬県”という、群馬県の地図の形を見ると鶴が舞っているような形に見えることから群馬県を知ってほしいとの思いから、この作品を作りました。

参加賞/A323
作品名/Love is just complicated
(愛は複雑すぎる)
画材/黒・赤ペン、シャーペン
作品を描いた時の心境

私には愛してくれた人が居ました。彼女は待つ身の苦しさ、寂しさ、辛さを一言も口に出しませんでした。別れて時が経つ程に彼女の苦労が分かる気がして、きっと涙した日もたくさんあったはず。その思いをマリリン・モンローで表現して、懲役の外で支えてくれる人の愛や優しさを、いつまでも忘れないように。伝えられなかった感謝を絵にしました。

参加賞/A323
作品名/THUGLIFE
画材/黒・赤ペン、シャーペン
作品を描いた時の心境

刑務所で限られた物品(シャーペン・ポールペン)で、限られた規則の中での最大表現です。「THUGLIFE」とは私が尊敬する2パック(米ラッパー)の言葉で「何もない状況の中あらゆる苦難に遭遇しながらも、それに立ち向かう人物」や、THUGLIFEを頭文字としてThe Hate U(you) Give Little Infants Fucks Everybody…お前が小さな子供に与える影響が憎悪が社会をダメにする…という意味です。私は養護施設で育ち、この意味が痛い程分かります。そして黒人の歴史を心からリスペクトしています。世界に平和を祈って。

参加賞/A298
作品名/たびだち
画材/色鉛筆
作品を描いた時の心境

卒業や出所して行く友を見送る寂しさと嬉しさからくる心境です。

参加賞/A298
作品名/再出発
画材/色鉛筆
作品を描いた時の心境

サユリさんが考えている様に昇級みたいなことです。目標の一つを達したので、もう一歩前に気合いの様な気持ちで、自身を鼓舞する意味合いです。

参加賞/A356
作品名/All or Nothing
画材/水彩絵の具
作品を描いた時の心境

渚みつきちゃんの作品パッケージがベースになっています。JKの制服のスカートの長さはこの絵の長さが最もベストなのです。これはエロの視点ではなくて、最近の世間の流れとしてヒザくらいの長さが多く見られますが、それは本当に重いし暗いのです。かなり明るめのカラーと軽い素材であればいいですが、大体制服というのはその逆ですからバランスが悪いのです。むさくるしくあつ苦しい、つまりダサいということです。寓意をちりばめてありますが、机の上の手錠は囚われの身であること、札束は逮捕保釈から今まで、さらに現在進行形で現存していっている資産を表しています。損失は増えつづけていますので画面から切れています。大事に抱えているのは私の分身ともいえる身分帳。

参加賞/A356
作品名/A super girl
(came from a different planet to save Ukraine)
画材/水彩絵の具
作品を描いた時の心境

去年、文芸コンクール用に描いたものです。ウクライナの勝利を願う抗戦平和の絵です。題名はとてもながいですが、画面上の寓意はそれによって解ります。ちなみに金賞を受賞しました。(水彩画の部)

Prison Gallery

座談会

以前、死刑囚の方が拘置所で色鉛筆を使いたいと国を訴え却下された事がありました。そのニュースで娑婆の皆さんは「え?色鉛筆ダメなんだ」ぐらい気を止めたかもですが…
その後「刑務所で絵を描く」って、どんな規制があるのか知る機会もありませんので、この場でどんなもんなんじゃい?てのをご紹介したい。今回我ら・ほんにかえるPJメンバー全国から選ばれし下記4名と座談会を開きたいと思います。
この座談会を読まれると、今回のプリズンギャラリーの作品達がどんな状況で描かれたのか垣間見れるかと。
(※この4名の方には事前にアンケートのご協力を得ました)

サユリ「では皆さん刑務所内で購入出来る、画材とお値段ご紹介いただけますか?」

※上記が全国4つの刑務所から送られた、画材の種類と金額のアンケートを合体したリストになります。

サユリ「ふーん。大体値段とアイテムは一緒なのかな。この(通常使用出来るもの)と(クラブ教材)って何ですか?」

A348「基本的に(雑記帳)として認められているノートにしか絵を描く事が出来ません。これに使用出来る筆記具が(通常)の物になります。絵画・絵手紙クラブといったクラブ活動に入会している人はクラブ教材の使用が認められています」

A289「私のところも同じく雑記帳に許可されているのは(通常使用出来るもの)の筆記用具のみです。絵の具については絵画のクラブ活動時間内に、スケッチブック・絵の具の使用が可能で、部屋での使用は不可です。部屋では通信教育を受講している者のみ使用可です」

A321「私の場合は許可された文具で間に合うイラストしか描いてないです」

サユリ「そうなんですか。自由に筆記用具を使えるわけではないんですね。だから今回プリズンギャラリーへの応募の絵がシャーペンとボールペンだけの方もいるんですね。

では、皆さん普段どういう時間に絵を描いて良いのですか?」

A323「私の所は、平日は17:30から20:54。休日は8:00から12:00、12:30から16:00、17:00から20:54までです」

A348「私の所もA323さんと同じく、余暇時間とされている時間です」

A321「時間が5分でもあれば、ちょっとでも描く。発作的ですね(笑)

A289「私のところも余暇時間ならOKです。私はいつもではありませんが、休日の13時頃から16時くらいまでの3時間ぐらいは水彩画を描いてます」

サユリ「では描いてはいけないとされてる絵はありますか?」

A348「わいせつなものや残酷なものは描いてはいけないとされてます」

A323「刺青に類いする絵は全て不可・指導となります。検査官が刺青・タトゥーと見なすものもダメです。あと女性の裸の絵(性器等)も不可ですが、浮世絵・仏教画でしたら自主学習許可を取ればOKです」

A289「私のところは、女子ばかりですので変な絵は誰も描きません。」

A321「女性の裸体を描いて知人に送る手続きをしたら不許可になったなぁ(笑)

サユリ「では皆さんが絵を描く事にはどんな意味を持ちますか?」

A321「自分だけの世界と時間を持てるし、私のイラストを見てちょっとでも笑顔になってくれる人がいればなぁと思って描いています」

A289「こういう施設では色が規制されていて地味です。でも絵の具があれば画用紙の中で明るい色を作ったり、渋い色を作ったり出来ます。そして将来は素敵な風景を自分の手で描いてみたいという願望もあります」

A348「一言で言うと心の安定剤です。現実逃避をする為にただひたすら没頭出来るものとして選んだもの、それ(絵)でした」

A323「私に絵を教えてくれたのは祖母で、暴力だらけの日々(幼少期)唯一の楽しみだったのですが、それが大人になって絵を描き続けるきっかけとなりタトゥーアーティストとなりました。今は塀の中ですが、頭や心の中の映像・感情ほ表現することで祖母との日々を思い出します。又、筋書きのないドラマのようでもあり、最初のアイデアが最後にどう行き着くのかも想像出来ず、絵が完成すると言葉や文字には出来ない最高の喜びが溢れます」

サユリ「皆さんそれぞれの思いを聞かせてくれて、ありがとうございました。」

後日談 : 今回このプリズンギャラリーへの応募の為に、沢山の絵が描かれたノートを送ってくれる方がおりました。応募作品をスキャンし、そのノートを刑務所へ返送したましたが、刑務所側から手紙が届き、受刑者が描き込んだノートは手元には戻さないという事です。
「着払いで返送・刑務所に引き取りに行く・破棄の中から対応を選ぶように(6ヶ月以内)」と、書かれてました。
結局、着払いで返送してもらい、出所の際まで事務局で預かる事となりましたが…手紙のやり取りはOKなのに、描き込まれたノートは外からの差し入れ扱いとなり、不許可となるそうです。

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