宮崎刑務所無期囚より Vol.1 仮釈放の現状

拘禁刑へ移行して半年、宮城刑の無期囚が置かれている現状と、無期囚が抱える不安、悩み、後悔、反省と、微かな希望との狭間で揺れ動く葛藤、そして今後の展望としての改革案について、私なりに考察し提案したい。 

 かつて過剰収容だった2008年頃、宮崎刑務所は約1100名の受刑者が、雑居9名(定員6名)、独居2名の部屋もあった。 
現在5階建て新居室棟で原則単独室となり、雑居が無い分他施設より恵まれている。
現在、約400名程の受刑者のうち、約160名程が無期囚で、一般工場に限れば過半数を占めるほど多くなっている。 

2018年(平成30年)末時点で全国の無期囚1789名で、2018年までの10年間の無期入所者が355名、仮釈放者89名(うち、新規仮釈放者は67名)、死亡者210名であった。 これ以降のデータを持ち合わせていないが、過去のデータ(入所・仮釈放・死亡の平均値で推測)から、2025年末時点の無期囚は約1680名程と思われる。 
2026年1月10日付、読売新聞記事で全国の受刑者32302名中、10年以上の長期受刑者が3424名とされるので、1680名は49.06%と妥当な数字だと思われる。 
2018年までの10年間、仮釈放審理件数329件のうち、許可されたのが72件(21.88%)で、これを地方委員会別でみると…
北海道6件、東北5件、関東38件、中部7件、近畿3件、中国9件、四国0件、九州4件で、LA・LB級の施設所在地や地方委員会ごとに大きく異なる傾向が見てとれる。 


宮城刑務所から仮釈放された無期囚は、この10年間で2名だけ。
数年前の1名は1類で、懲罰1回でも約40年近く務めての出所である。無期と言えど、罪状や、初犯か再犯、務めた年数、行状など異なり、比較することは難しいが、全国的に無期の仮釈放は大変厳しく非常に狭き門という現実がある。 
有期と無期の決定的な違いは満期の有無。有期ならたとえ何をしても満期が訪れるが、無期は月々の無事故の積み重ねでしかない。 
例えるなら、目隠しで細い平均台をずっと歩き、微かな希望というゴールを目指す。
いつ訪れるともわからないまま、ゴールを目指すモチベーションを持続するのは並大抵ではない。 

こと無期囚の仮釈放が厳しい理由は様々あると思われるが、私は国の財政予算上の制約があると考えます。
ここ数十年、毎年の無期仮釈放者は全国で一桁台後半です。仮に毎年10名を無期仮釈放し、作業報奨金を1名300万円支払えば、年3000万円の予算が必要です。 
そして、受刑者の作業報奨金がいくら貯まったとしても、刑務所内にいる限り、仮想の数字でしかなく、出所して初めて現金として支払われる(身寄りが無い者が死亡した場合は国庫に返納されるが、遺族又は誰々に支払うと指定すれば支払われると聞くが定かではないし、そもそも知らない人がほとんどだと思われる)。
仮釈放者を増やすにも、国の財政予算上の制約から増やせないのでしょう。 
高齢者ばかりの工場だと、身寄りもなく獄死を覚悟していると公言し、数百万円(作業報奨金)貯まった無期受刑者がたくさんいるのです。 


拘禁刑が作業の義務はないとしているが、作業を希望しない者でも作業時間帯は自由に読書や筆記は認められず、作業を希望しても作業報奨金と同じ待遇でしかない。作業の義務がなく、作業を任意とするなら、労働の対価として賃金を支払うべきで、これなら禁固刑から看板が替わっただけである。
物価高に応じて作業報奨金を見直し、賃金として支払う必要があるだろう。 
現状は1時間10等工で7円70銭、1等工で56円に、トータル5年を要して達する1等工7割増しで95円20銭と、最低賃金の10分の1以下である。
短期刑でもしっかり更生資金を貯められるようにすべきだが、一方で賃金が増えれば、今後30年をかけて無期囚の仮釈放の際に受領する金額が増え、予算の都合で仮釈放の人数を抑制するようなことになれば本末転倒である。 
そこで、無期囚自らが、痛みを伴う改革を甘受して、仮釈放者を増やすための条件を受け入れる案を提言したい。 


① 貯まった作業報奨金(一部を除いて)の残額を分割で受領する。(年齢等で受領期間を定め、期間の長さで加算し、年金に上乗せ支給) 
② GPS端末を装着する。 
③ スマホアプリで保護司・観察官とチャットで相談・指導が受けられる(元刑務官が保護司になりやすくし、元工場担当が遠隔で関われば、長く接してきた関係性を生かし、メンターとして担当する)。 


また、金銭管理の家計簿アプリと連動させたり、自治体の公営住宅・空き家や仕事の紹介を受けられるのも良いだろう。
こうした制度の導入で、国の財政負担の軽減に加え、再犯防止にも寄与すると思われる。
受刑者も仮釈放をいただけるのであれば、本気で更生し、再犯しない覚悟があれば、これらの条件なんてなんでもないだろう。 
仮釈放後も受刑者が無駄遣いを防ぎ、老後の生活が安定すれば、じっくりと被害者、遺族と向き合い、慰謝・弁済ができるのではないか。
こうした対策を導入して、無期囚が更生するというモチベーションを持たせる方向性を、法務省には見出していただきたいと考えます。 

 

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