春を超えて

拝啓

 汪さん、スタッフの皆様、桜満開の時期となりましたがいかがお過ごしでしょうか。
先日よりマスク着用の個人判断、5月の5類への移行など少しずつ元の社会が戻りつつあるのかなという流れを感じる今日この頃ですが、PJの皆様の日常も変わりつつあるのでしょうか。 

私の居る施設でも制限がだいぶ緩和され、一応5月には4年振りとなる運動会も実施される予定です。 

 完全に以前と同じ社会には戻らないでしょうが、でも少しずつ明るい話題も増えるでしょうし、これからきっと活気に溢れる世になるのではないかと期待しております。 

 ちなみにワクチンの接種、私は3回目まで受けているのですが、オミクロン株に未対応でしたので、一応4回目の申し込みをしました。
ただ副作用が毎回かなり辛いので、もうこれで最後にしたいですね。 

 人々の生活に大変な影響をもたらした感染ウイルス、一日でも早く終わって欲しいと思います。
またこの頃、感染者が増え始めたようですしね……。 

 今月は父を亡くして4年となるのですが、正直いまだに実感がないんです。 

 もともと社会で一緒に住んでは居ましたが関係は良いとは言えず、幼い頃から暴力等、今だったら完全に虐待だと問題になるような扱いを受けておりましたので、逮捕後も疎遠になりがちで、手紙・面会もほとんどありませんでした。 

 ただ、自分が齢を重ねるほどに嫌な思い出より良い思い出、楽しい思い出の方が影を占めるようになり、美化されているわけではないのでしょうが、きっと父のすべてを受け入れられるようになったのかもしれませんね。 

 母に対して暴力的な日常でしたのでいつも泣かせ、夫としても父としても駄目でしたが、人として正しい姿であること、あり続けることがどれほど難しいことなのか、少しずつ分かり始めた自分の今を通して考えられるようになったのかもしれません。 

 人にはそれぞれの親子関係・家族関係があり、事情もまたあるはずで、普通の家族というものがどんなものかは皆それぞれやはり異なっているのでしょう。 

 少し前に、“親ガチャ”という言葉が話題になりましたが、親の立場からしたら“子ガチャ”だってあり得るはずで、なんだか笑えない言葉が流行しているなと思ったのは自分だけでしょうか。 

 なんとなくとりとめのない文になってしまいましたが、施設に長期間収容されてそのまま家族と死に別れてしまった方は他には居られるはずで、どのような受け止め方をされているのかなと、少しそんなことも考えました。 

 長い間、時が止まっているようでも現実にはちゃんと動いており、ふとした瞬間にそれを強く感じる、そんなことが何度も繰り返される受刑生活ですが、汪さんはどのような時に時間の流れを感じますか? 

 今回もプリズンライターズへの俳句を投稿しますので、よろしくお願いします。 

先日は作品の掲載内容やHPの様子などを教えて頂きとても嬉しかったです。Vol.3の完成を大変楽しみにしております! 

 それでは今日はこれにて失礼します。皆様くれぐれも体は大切にお過ごしください。 

 ◎4/14は汪さんBDですね!おめでとうございます! 

 

令和5年4月1日     

 

「春を超えて」

 

待ちに待った春がようやく届きましたね。10句投稿します。 

 

  • 春昼に一番風呂をもらひけり 

  • 獄窓を幾度と見やる春一番 

  • 他人事と言へぬ戦火の春の月 

  • 東風吹くと気象予報士二度云ひぬ 

  • 行進の号令乱る春眠し 

  • 囀や言葉の重み知りにけり 

  • 耳朶ふたつ春の光を通しけり 

  • うらゝかや鼻毛一本銀となる 

  • 面会の呼び出しのこゑ草萌ゆる 

  • 各々の全力疾走桜咲く 

     

    2023.4.2 A294 

 

 

A294さんの投稿

 

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