PRISON WRITERS STORIES
※ 受刑者からの投稿は、公開順にこちらに掲載しております。👤ライターのNo.は、ほんにかえるプロジェクト会員ナンバーです。
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獄中小説・獄楽/休日24時 Vol.7
覚醒 布団の中で、眼を、閉じたまま、耳を、澄ました。 鳥の囀(さえず)りは・・・聴こえ、ない。 ほっと、胸を、撫で下ろす。 いや、待てよ。昨夜から降り頻(しき)る雨のせいで、もしかして、鳥は、ただ意・・

獄中小説・獄楽/そしてまた冬 Vol.6
「おいマサ、報知器を押せ」、、、報知器とは、職員に用件があるときに居室内からその旨を知らせるボタンを押し、巡回職員に立ち寄ってもらうためのものだ。マサが立ち上がり、扉の横にあるボタンを押した。「もし・・

獄中小説・獄楽/そしてまた冬 Vol.5
1年が経つのは年々早く感じる。56歳の俺からすると56分の1、32歳のユウジからすると32分の1、ということで同じ1年でも俺の方が早く感じるのだとユウジは言う。確かに、15歳のときの1年とは比較になら・・

獄中小説・獄楽/番外編「自己紹介」
小説家を目指しているA348こと楠 友仁(くすのき ともひと)です。 私が「プリズンライターズ」に原稿を応募しようと思った動機を順を追ってお話させていただきたいと思います。私が捕(パク)られたのは平 ・・

獄中小説・獄楽/春 Vol.4
俺は2週間の考査期間を終えた。そして幹部職員から金属工場への配役を告げられた。工場へ向かう途中、中庭に、俺の〈初陣〉を祝うかのように桜の花が満開に咲き誇っていた。「よし、見栄もプライドも捨ててバカにな・・

獄中小説・獄楽/春 Vol.3
中庭の満開に花を咲かせた1本のソメイヨシノ。それを取り囲むように敷かれたゴザの上で、1人1個ずつ給与された10円饅頭を口の中に放り込む。つぶ餡と、微かに感じる発酵の風味を逃すまいと、俺は、呼吸を、止め・・

獄中小説・獄楽 Vol.2
「ユウジさん、ジンさん、すんません、、、話に入ってもいいっすか」食堂のテーブルで休憩しているため、嫌でも隣の会話が耳に入る。横から勝手に「それ違うよ」などとうっかり口を挟んでしまうと、「おいコラッ、て・・

獄中小説・獄楽 Vol.1
これだけ生活環境が悪いというのに、俺はまったく苦痛を感じていない。なぜなら、共同室の煩わしい人間関係から暫く解放されているからだ。共同室なら今ごろ、〈NHKのど自慢〉のラジオを聴きながら、今週のチャン・・