受刑者の私に仕事をください!
日々、額に汗して刑務作業に励んでいる我々受刑者ですが、我々にとっての「一日」と世の中の人にとっての「一日」では長さが違います。
刑務官の日中の勤務時間の中で、受刑者を部屋から出して作業をさせて飯を食わせて運動させて風呂に入れて部屋に戻す、までをやらないといけないので、我々の一日は短くならざるおえません。
作業は朝8時に始まりますが、早い日では14時前に終わります。遅い日でも16時前までです。
その後、入浴の日なら入浴をして、部屋に戻ります。そして、この時点で、今日も一日が終わった、となりますので、半日で一日が終わる感じでしょうか。
部屋に戻った後は点呼と夕食を挟んで、21時の就寝まで余暇時間という名の自由(不自由)時間です。
世の中の人が想像するのよりも、受刑者には自由になる時間が多くあります。
私もここに来るまでは知りませんでした。というか、刑務所のことなんて考えたことすらありませんでしたね。
通勤時間なんて、居室のある建物の目の前が工場なので0分です。
なんなら、移動時間よりも点呼取ってる時間の方が長いくらいです。
炊事洗濯はやってもらえますし、土日祝日は休みです。休日出勤も残業もありません。
(炊事の工場だけは土日祝日も働いてますけど、その分の休みを平日に取ってます。)
もちろん、休日だからといってどこかへ出かけられる訳ではありません。
というか、3畳ちょっとの部屋から出ることすら出来ません。運動していい時間も決まっているので、部屋の中では基本的に一日中座ったままです。
何かと行動に制約は多いですけど、その中でなら自由はあります。
でも、この辺は一般社会でも同じですよね。お金と時間と健康の許す範囲でしか自由に出来ないのですから。
あ、あと法律もですね。(これがすぐに出てこないあたりが、私がここにいる理由の一つですかね)
その許された範囲の自由は、勉強するか絵や書を描くか本を読むかテレビを視るだけです。
(罪や被害者へのもろもろは、どこで何をしていようと「常に」なので、この中には入りません)
あるけど無いのと同じ、ただ過ぎていくだけの時間です。
この無為の時間を何か有効に活用できないものかとずっと考えて来ました。
我々受刑者の生活を定めている「刑事収容施設及び、被収容者等の処遇に関する法律」の第39条(余暇活動の援助等)にこうあります。
1・刑事施設の長は、被収容者に対し、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがない限り、余暇時間帯等において自己契約作業を行うことを許すものとする。
2・刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、被収容者に対し、自己契約作業、知的、教育的及び娯楽的活動、運動競技その他の余暇時間帯等における活動について、援助を与えるものとする。
ここに出てくる「自己契約作業」というのは、受刑者が自分で一般企業と契約して仕事をする、というもので平たく言うと、刑務所の中で内職していいよ、ということです。これですよ。
先に書いたとおり、受刑者には自由になる不自由時間が多くあります。
なんたって、通勤に費やす時間も家事の一歳もないのですから(あ、でも部屋の掃除は自分でやります。狭いので、ものの数分で終わりますけど)。
この有り余る時間を労働に当てて、そこで得た収入で被害弁済ができれば、有効な使い方になるんじゃないでしょうか。
もちろん、刑務所なのでどんな仕事でも出来るという訳ではありません。
インターネットはおろかパソコンすら所持できませんし、電気等の何らかの動力を必要とする道具も許可されないでしょう。
ハサミやカッターなどの凶器になりうるものもダメです。
世の中は今、人手不足が叫ばれているようですが、働き手が足りないという方、極力道具は使わない単純な作業だけど個数が必要という仕事がありましたら、私にやらせてくれませんか?手先は器用な方ですし、単純継続も作業ならお手のものですよ。なんたって年季が違いますから。
どうぞ気軽にお声がけ下さい。受刑者でも、いや、受刑者だからこそ仕事は真面目にキッチリやりますよ。
この無為な時間を有効に使えるなら、それに勝るものはないですもの。
どうか、私に仕事を!この素晴らしくもない塀の中に仕事を!
2025年2月17日
日々、額に汗して刑務作業に励んでいる我々受刑者ですが、我々にとっての「一日」と世の中の人にとっての「一日」では長さが違います。 刑務官の日中の勤務時間の中で、受刑者を部屋から出して作業をさせて飯を食わ・・