死には死でしか罪は償えないのか
明けまして、おめでとうございます!
2023年、皆様におかれましては、素晴らしく、楽しい事がいっぱいある年でありますよう、お祈り申し上げます。
昨年末、サユリさんから(庄子さん方として)クリスマスも兼ねた、素敵なカードを頂きました。
すごく嬉しく思います。この手紙が届いた後、私の代わりに、サユリさんにお礼をお伝え頂けますよう、お願いします。
コロナ対策が緩和され、街にも久々に活気が戻って来たようですが、皆様はどんなお正月を迎えられましたか。
千刑では、去年の12月15日から受刑者に感染者が続出した為、ずっと舎房で過ごして来て、今日に至っております。
正月だからといって、29回目ですので、元々そんなに特別な感じはしませんが、さすがに半月も休んで(?)おいて、「連休だ!」と言われても、ありがたみも半減です。
楽しみといったら、チバテレで毎日放送された韓国ドラマ「雲が描いた月明り」はおもしろくて、午前中9時から12時はあっという間でした(笑)。
サユリさんのお便りにもありましたが、プリズンライターズに会員の皆さんが大分積極的に投稿されているようですね。
私も全部拝読しています。今回は連休を利用して、この頃自分が感じている事を率直に少し書いてみようと思いますが、投稿に値するかどうか、かえるPJで判断して下さい。
書きたいテーマは、生きる・生命の持つ意味についてです。これはかなり重いテーマで、とくに私のような生命犯にとって、普段は正直、あまり触れたくない話です。
かと言って、考えもしないというわけではないです。おそらく多くの私と同じ罪を犯した会員も同じような思いを持っているのではないでしょうか。
命は命で、死には死でしか罪は贖えない。
ずっと思っている事ですが、私がいくら反省しても、どんなに更生して真っ当な人間になろうとも、被害者方からしてみたら、なんの意味もなしません。
ですから、殺人を犯した時点で、もう死刑か、自殺しか、贖う事はできません。
でも、私はまだ生きています。なら、この命にどんな意味を持たせばいいのでしょうか。
ただメシを食って、殆ど役に立たない仕事(おまえらが一年働いたって、柱の一本も作れないよ、と言われたことがあります。その通りです)をちょこっとして、生きて出られるかどうかも分からない状況下で毎日を送るのに、どんな意味があるのか。
官では、辛い思いをしながら自分の罪と向き合い、反省し、どう償うかを毎日考えろと説きます。正論です。
それに基づいて、笑い声が大きかったら「刑務所に来て何が楽しいんだ!」と怒られたり、「反省しているならメシが不味いとは言えない筈だ」と言われたり。それも正しい。
しかし、残念ながら受刑者も結局は人間で、動物ですから、本能に逆らうことが仲々に難しいです。
それでは益々生きる意味が分からなくなってしまいます。今日だけでも楽しく過ごしたい。生きていると感じたい。
一方でそれは被害者方や世間様に申し訳ない。そんな葛藤はずっとあります。
受刑生活は自分の罪に対する罰で、当然の報いです。でも、これは償いではないとは私はどうしても思えません。
死ぬまでは罪は贖えないが、充分ではないけど、ムショ生活も含めて、償いはし続けられます。
出所しない方が良いという考え方は明らかに間違っています。
刑務所にいる間は、被害者の冥福を祈ることしかできません。
その「冥福を祈る」という言い方も、被害者方から見たら、命を奪った張本人が何を言っているんだ、他人事のように!と思われても仕方がありません。
本当に償いたいなら、むしろ一日でも早く外に出た方が良いです。
外では、この命を使ってできる事が、ムショにいるより何百倍もあります。
かえるPJのようなボランティア活動に参加すれば、誰かの助けになります。
きっと自分も充実さを感じて、生きる意味をもっと見出す事ができるでしょう。
私の命だけでは、被害者の命とのバランスが取れません。
なら、せめてより多くの償いをして、その分の利息を払わないといけない気がします。
利息を払うためには、先ず今を生きていく事が前提です。
こういう罪を犯してしまったら、もう残りの人生は償いと一緒に送るか、人間を捨てて、より怪物になるしかありません。
会員諸兄は何を選びますか?良い方も悪い方も、きっと皆さんはそれぞれ自分の生きる意味を見つけられると思います。
個人的な意見ですが、本はやはりいっぱい読んだ方がためになります。
小説でも考えさせられるものが多いです。作家自身は経験したことがない筈なのに、どうしてこんな言が書けるのか不思議です。
私は、誉田哲也さんの作品が好きで、上に書いたものの一部は、感銘を受けたものです。
言いたい事が言われた気がします。いつかこの命を削るためにも、今は生きます。
一方で、その難しさも日に日に理解できるようにもなりました。
無期刑の本当のおそろしさは、入っている間に新たな人との繋がりが築けないので、年月が経つにつれ、知人友人や家族など真に支えてくれる人が一人又一人と減っていき、気づけば孤立無援、独りぼっちになってしまって、生きる意味を見失い、生きる気力が奪われていく事です。
無期の会員の皆さん、真の償いができるためにも、今は一緒に踏ん張りましょう。
投稿文というよりも、現在の自分の感想文ですね。本当は、故安倍氏の事件の事も少し書こうかなと思いましたが、やめておきます。
年を取って、最近何でも億劫になって来ました。もう周りの事に目がいかないように、ただ班長と言う仕事をミスなくこなして、舎房へ戻れば、考え事をし、本を読み、テレビを観て一日を過ごす。
こんな2023年を送りたいと思っていますが、どの刑務所、どの工場もそうですけど、中には他人を平和に過ごさせない輩もいたりしますので、退屈もさせてくれない時があります。どうなるでしょうか。
今年も庄子さんとかえるPJから年賀状を頂いてから一年が始まりました。瑛子さんの絵も相変わらず、温かみがあって、素敵です。
なによりも、まだまだお元気のようですね。物価が上がったり、戦争が続いたり、世の中は不安定で過ごし辛いこと夥しいが、どうか健康で、笑顔でお過ごし下さい。本年も宜しく、お願い致します!
2023年1月3日
A22さんの投稿
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今年の10月で、受刑生活が満30年になりました。とうとう娑婆で過ごした時間よりも、刑務所での方が長くなりました。変化もなく、同じような毎日を送ってるせいか、振り返ってみても、記憶に残るような事が少な・・