刑務所の中で働くという事
一般社会では労働賃金の賃上げで景気を回復させようと、政府が力を入れているようだが、刑務所での賃金(作業報奨金)は一般社会の最低賃金が超大金に思える程、少額で強制労働を強いられていることを沢山の人たちに知って頂きたく投稿させて頂く。
現在は情報があふれている世の中なので、刑務所の賃金についても情報が公開されているかも知れないが、わざわざ調べ(検索)る人も少ないと思うので、無期懲役囚の私が解説してみたいと思う。
私達受刑者の労働(作業)は、刑事裁判で懲役刑を科されたものなので、一般社会での最低賃金より安いなどと不満をいうつもりは毛頭ないが、何のためのお金なのかを一般社会の人たちにも考えて頂けたらとは思う。
刑務所の賃金は作業報奨金といい、出所する際に渡されるという前提のものなので、無期刑で出所できない者の作業報奨金はどうなるのか気になって調べてみると、国庫(国のお金)に入るそうで非常にもやもやしている。
懲役刑の刑務作業は強制なので、病気などで作業ができないなどの理由がない限り、作業をしないと作業拒否という遵守事項違反で懲罰となり、大きな不利益を受けることになるため、無条件で働かなければならないのだ。
刑務所に来たばかりの新人受刑者と、年季の入ったベテラン受刑者では当然、作業効率も違うため法令で十等工から一等工まで十段階に作業報奨金額が定められており、十等工から等工が上がるにつれ、少しずつ作業報奨金が増えるようになっている。
入所して各作業種工場(当所では約二十ケ工場)に配役された新人受刑者は十等工(見習い)からのスタートで、時給七円三〇銭で一ケ月(約二〇日)で約一千二十二円を一ケ月間、二ケ月目は九等工になって時給九円四〇銭で一ケ月で約一千三百十六円を一ケ月間、三ケ月目からは八等工になって時給十二円三〇銭で一ケ月で約一千七百二十二円を二ケ月間、五ケ月目からは七等工になって時給十五円五〇銭で一ケ月で約二千百七十円を三ケ月間、八ケ月目からは六等工になって時給十九円九〇銭で一ケ月で約二千七百八十六円を四ケ月間、十二ケ月目からは五等工になって時給二十二円四〇銭で一ケ月で約三千百三十六円を五ケ月間、十七ケ月目からは四等工になって時給二十七円八〇銭で一ケ月で約三千八百九十二円を六ケ月間、二十三ケ月目からは三等工になって時給三十三円七〇銭で一ケ月で約四千七百十八円を七ケ月間、三十ケ月目からは二等工になって時給四十一円七〇銭で一ケ月で約五千八百三十八円を八ケ月間、三十八ケ月目からは一等工になって時給五十二円九〇銭で一ケ月で約七千四百六円が上限となり、懲罰を受けたり工場が変わらない限り一等工が続くことになる。
作業の業種や危険度によってC作業からA作業の3段階があり、前記した十等工から一等工の作業報奨金額はA作業のもので、B作業は三等工が上限となり、C作業は五等工が上限となるので、一等工が上限のA作業は貴重といっていいだろう。
新人受刑者がA作業の工場に配役されて一等工になるまで、最短でも三十七ケ月(三年一ケ月)も必要で、途中で懲罰などを受けて違う業種の工場に配役された場合は、また十等工(見習い)からスタートとなるので、私のように、しょっちゅう懲罰を受けてきた者は、ずっと作業報奨金が少ないままで累計額も少ないのだ。
大分刑務所では、前月分の作業報奨金額の半分までを日用品や書籍を購入するために使用できるのだが、下着のシャツやパンツを購入したくても、どちらも一枚約千円と高額なため、一枚買うためには入所から六ケ月以上働かないと買えない訳で、一般社会での物価高など超うらやましいと思える物価高の世界が存在することを知って頂けたらと思う。
それで問題だと思えるのが、短期刑で早く出所する者と、長期刑(有期刑)でも懲罰を繰り返し、作業報奨金が溜まっていない者が出所時に受け取るお金が少なく、生活できない時にお金のために犯罪に走ることが考えられることで、一般社会で生活する一般人に取っては脅威になるという事実だ。
刑務所のルールを守り、懲罰を受けない者のことは、それほど心配する必要はないだろうが、ルールを守れず懲罰を繰り返す者に少しのお金しか渡さず一般社会に放り出す脅威を一般社会の人たちには、重く考えて頂きたいと思うのだ。
令和六年一月二十一日
A212さんの投稿
※上記ボタンをクリックすると決済ページへ移動します。決済方法に関してはこちらをご確認ください。
人は生まれた環境によって、恵まれている者と恵まれていない者とで、超不公平な人生をスタートさせなければならないのだが、大多数の者が考えたことがあるのではないだろうか? 私の場合、無期懲役囚として長い受刑・・