再犯率が減らない理由を考えてみた Vol.7 施設篇②

刑務所での「受刑者の収容」という大枠での目的はどこも同じではあるものの、その運用方法や中での様々な基準などには違いがあるんです。ここでは施設としての取組方などの「差」について書いていきます。 

 

身近な生活に直結しているもの
購入先業者が全国で統一されているのにもかかわらず、各施設で購入・使用できる物に差があります。実例を上げると広島刑務所では「ボディシート」の購入・使用ができて、宮崎刑務所だと「電子書籍」の購入・使用ができたりします。一方熊本刑務所は他施設から持ち込んでいれば「ボディシート」を使うことはできても購入はできませんし、「電子辞書」になると購入リストはあるのに購入はできないし、他施設から持ち込んでも取り上げられて使うこともできなくなってしまいます。 

そして本来法律上では事物の使用が認められているのにもかかわらず、アレコレと理由をつけて勝手に基準を作ってしまっているところがあったりして、使用基準がバラバラになってしまっています。広島、福岡刑務所などは比較的法律にのっとって下着の選別はせずに渡してくれているようです。一方で以前大阪刑務所では「乾燥機にかけられない」としてユニクロのエアリズムやヒートテックの使用ができませんでした。熊本刑務所はキャラクター物は「華美だ」として使用させず、赤色のものは「ケガをしても分からない」と言って使わせていませんでした。最もケガをしてもわからなそうな黒は使用させていたのですから、勝手に作っている基準がいかにいい加減なものかと言う事に他なりません。 

一般(短期)と長期でも違う 
まず大前提として知っておいてもらいたいのですが、一般と長期の差は刑期の長さくらいで行っていることに違いはありません。それの証拠に広島刑務所や神戸刑務所では一般と言われていますが、長期刑の受刑者もいて同じように生活を送っています。なのに長期刑と言うだけでかなり変わってしまうのです。特に優遇区分についての基準は顕著です。一般だと三類から二類に昇類するのは工場に出て平均1年半ぐらい無事故で頑張っていればいいのですが、長期だと5年くらいはかかると言われており、二類から一類へとなろうものなら30年かかるところも少なくありません。それだけでなく一般では資格などを取るとそれが加味されて昇類が早まるところが多いのに対し、長期では加味してくれるところは少ないと聞きます。特に長期刑の人は一般に行くか長期に行くかで、かなり処遇に差が出ているのは間違いありません。やってる事が変わらないのですから、一般と長期で基準を一律にできない意味がわかりません。 

資格取得にも差が 
職業訓練の開講数にそもそも違いがあるのですが、もともとの施設の大きさなどの現実的な問題もあったりするので、仕方がない部分があるのは否めません。しかしそれらの訓練が全国に募集をかけて平等に受講する機会を与えているわけではないのです。豊富に募集が来ている施設もあれば、そうでもない施設もあったりして違いがハッキリ出ていたりします。他にも簿記や危険物取扱者などを自主学習で幅広くとれるようにしている施設もあれば、全く取らせない施設もあって、資格への取り扱い方も様々です。試験を受けさせるためにはそれなりのハードルが高いのは事実としてあります。しかしものによっては資格は生きていくための武器になるのですから、もう少し平等に、、、そして積極的にとれるようにしてもよいと思います。 

 

問われる改善指導への姿勢 
一般改善指導といえば、代表的なものだと「居室棟内処遇日」があります。このプログラムにおいても刑務所側の更生させようとする意志が感じられるのですが、ここにも確かな差があるのです。広島刑務所だと1カ月の生活目標を立てさせてどれくらい達成できたのか、どうすれば良くなるかなどを自己分析させるシートを作らせていました。それとラジオやビデオの視聴をさせて感想文も書かせていました。NHKの「最後の講義」だったり「情熱大陸」などを幅広く見せていて、種類も豊富で内容も考えられていると思えました。感想文などが書ければ自主学習をしても良いことになっているのですが、書いたりする勉強があまりできなかったので、実質小説を読むぐらいしかできなかったのが唯一の難点だったと思います。ところ変わって熊本刑務所になると、自己分析のシートなんてものは作りません。ラジオやビデオの視聴をさせて感想文を書かせているのは同じですが、ラジオは同じものを使いまわして何度も聞かせたり女子刑務所向けの内容を流してしまっているし、ビデオについても何度も苦情が出ているのに「歴史探偵」や何年も前の震災関連のドキュメントばかり見せています。その上感想文を書き終えても視聴時間内は視聴以外何もできません。熊本は「とりあえずやらせてます」感が非常に強いといえます。どちらが更生のためを考えていると言えるのでしょうね。 

他にもまだまだ刑務所格差はキリがない”刑務所ガチャ” 
作業割増をしっかり付けて少しでも多く報奨金を持って帰れるようにしてくれるところと、何だかんだ理由をつけて報奨金を出し渋るところがあります。アンケートを取って受刑者の希望をくみ取ろうとしてくれるところがあれば、一切聞く気がないところもあります。視察委員会が機能しているところと全く機能していないところもあります。極めつけには同じ罪名と刑期なのに仮釈放の量が変わる、、、なんて事がまことしやかに語られたりするぐらいなのです。受刑者は受刑する刑務所を選ばせてもらえません。なのでちゃんと考えてくれているところに行ければ更生できる可能性は上がるでしょうが、考えてくれないところに行かされると逆に再犯の可能性が上がってしまうでしょう。少しでも更生させようと思って出来ている差なら良いのですが、明らかにそうではない差の方が多すぎるのが現状だと思います。 

 

差が発生している原因とは、、、 
刑務所は本来法律に則って運営されるものなのですが、所長の裁量によって決めてしまえることが多くあるのです。中には法律で認められているものを裁量権で禁止にしてしまっている事なんかがあったりしているのが事実です。時の所長が決めたことをそのまま慣習として続けていたものの、受刑者に裁判を起こされて敗訴するなんてことはよくあるくらいです。 

所長を含めて幹部連中は大体2年前後で転勤していくので、自分たちが決めた事がどのような結果を出しているのかをちゃんと知れている事はあまり多くないように思います。更生につながるようにと考えられた上での事であればよいのですが、どう考えても面子のためや自分達の手間を省くためだけのケースが多いことがあるくらいなのです。他にも現場のことを何も考えず机上の空論のみで変えてしまう人がいたりして、受刑者のみならず職員たちも混乱させられているのは、上意下達の公的機関にアルアルなのでしょう。 

これらの根本的な部分は「職員の考え方」によるものが大きい気がします。受刑者の出所後まで見据えて入所中での事を考えてくれているのか、いかにして自分たちの権限を守り管理することに注力しているかの差のように思えてなりません。昔の監獄法下であるなら後者のままでもよかったでしょうが、更生を主軸に本気でするのなら、そうせざるを得ないと思う部分が多くあったとしても、後者の考えは改めていかなければならないものだと私は思います。体感だけで言うと、広島刑務所は比較的前者の考え方にシフトしようと努力しているのに対して、大阪や熊本刑務所はまだまだ後者の考えにしがみついているように思えます。 

変えていく、変わっていくために必要になって来る事 
そもそも論として「受刑者は平等」という大原則を忘れてはならないと言う事です。それは施設が変わろうが関係ないはずです。まず日常生活の面で差が出ていては、その時点で平等とは言えません。日常生活で最も早く差を無くせるはずの事は物品の購入と使用の統一でしょう。なんと言っても購入の業者が既に全国で統一されているのですから、できないと言う方が嘘でしょう。内容の統一方法に関して言うのなら、同じ刑務所同士で使える使えないがある事自体が不自然なので、一か所でも購入させているのなら全てそれに揃えて買えるようにすれば済む話なのです。これによって余計な買いなおし等もなくなるので合理的ですらあります。 

所持品でどうしても差が出てしまうのは法律上私物の持ち込みが認められている下着類でしょう。ただ問題になっているのは本来認められている事を認めているか、自己解釈で規制してしまっているかなので、そこをなくす方を考えるのが妥当かと思います。そこに関してもやる事は、いたってシンプルな話で、勝手な規制を止めさせればよいだけです。本来法律が認めていることを裁量権を行使して規制してしまうことの方が間違っているはずです。“お金編”でも書きましたが、所内で購入できるものは定価購入なので決して安くありません。持ち込めるものをきちんと持ち込めれば、その分の負担はなくせるのですから少しでも使うお金も減らせる事にもつながるはずです。 

 

解消していくための最も高いハードル 
様々な基準の差や所内での事、これらの事は本来同じでなくてはならなかったはずです。それなのにここまでの差を生んだのはやっぱり職員の意識の問題でしょう。ここを変えていかなければ、何も変わらないのが現実で、これを変えていくのが最も難しいと言えるでしょう。何故なら意識を変えると、必然的に職員の抱える仕事量は増えるはずだからです。刑務所の規模によって配置される職員の数は決まっていて、その人員で行うためには根本的な働き方の見直しだって伴います。それらは公務員が最も苦手とするところだと私は思っています。そんな人達に良案が考えられるのか、と言うとこれまた難しいように思います。 

少し乱暴な言い方をしてしまうのなら、「受刑者の更生が業務の一環なのだから、必死で取り組め」と言ってしまいたいです。と言っても職員だけで考えさせるのは不可能でしょう。なので当事者である受刑者の声を収集し、それを第三者機関にまとめてもらって反映させていくのがベストな気がします。他から見られた自分たちというのを職員たちは一番わかっていない点だと思うので、これは意識改革に必要な大切な一つだと思えます。 

 触れ切れていなかった事はまだまだあって、格差は尽きません、、、。私が気になっている差で初犯刑務所と累犯刑務所では、初犯は厳しく累犯はゆるくなってしまっている傾向があります。たしかに累犯は複数回の受刑者がいるので、若干あきらめられているのかな?と悲しくならないでもありません。本当なら累犯者にだって一生懸命になってもらったっていいように思うのです。 

昔と違って今は更生が刑務所に一番求められていることだと思います。そのためにもどこの刑務所でもベースは同じになっている事は大切なことだと私は思います。そしてそこからどうやって更生させるかに注力したうえで、各所が良い意味での差ができるのはとても良いことだと思います。もしも変わっていくことができないと言うのなら、せめてどこの刑務所で受刑するかは選ばせてもらいたいものです。何と言っても私たちの人生に関わる大切な時間であるはずなので、私たちの事を真剣に考えてくれない人たちには任せたくないと思うのが真理ではないでしょうか? 

変わっていくために何が正しくて、何が間違っているかなんかは今すぐに正解なんかはわかりません。そして原因も唯一のものと言うのも難しいです。色んなことが絡まりあって複雑怪奇この上ありません。そんな事に対して私が考え続けている事などはほんの一部でしかないと思います。本当に良くしていくためには一人でも多くの人の、一人でも多くの声です。私のこの提案が受刑者の更生のためにがんばれる場に刑務所がなっていくための声が集まるきっかけになればと思います。 

次回は”職場編”でお目にかかりたいと思います、では、、、。 

 

A304さんの投稿

 

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