転生したら『受刑者』だった件 Vol.1
一説によると、人は死後、前世の記憶を持ったまま別の世界へ生まれ変わることがあるのだという。
・・・あれ? 僕はふと思った。僕は今『ケームショ』という、社会の常識が全く通用しない、自由に外の世界へ行くことも叶わない特殊な場所にいる。そして過去に一度、逮捕から起訴、有罪判決を受けたことで、社会的に完全に“死んだ”経験がある。
それはつまり、我々は社会で死を迎えたことにより、夢にまで見た異世界転生を果たしていたのだ・・・・・・!!(驚愕の事実)
そうか、これが異世界転生・・・・・・ん、だがそうなると、一つだけおかしなことがある。
日本の様々な文献によると、異世界に転生した男子は皆『チート』能力に目覚め、『ハーレム』を築けるとあったのだが、はて?
どれだけ目を凝らしても、登場人物は皆股の間に『勇者のしるし』を装備しているし、チートどころか超絶縛りプレイすぎて別の何かに目覚めてしまいそうなんだが・・・。
明らかに僕の知っている異世界転生と全然ちがうんだけど、まぁ色々あるよね。なんたって異世界なんだし(頑な)
というわけで、チートもハーレムも無かったけど、ちょっとだけ変わった異世界転生ライフをこれから(たまに)語っていこうと思う。
基本、まじめ?なことを中心に、その時のテンションに任せて雑多に書いていくと思うので、みなさんよろしく。
ってことで、まだなんにも中味があることを話してないんだけども、今回はおしまい。
それでは、素敵な異世界転生ライフを。またね。
令和5年10月25日
転生したら『受刑者』だった件 Vol.2 - ケームショの理 -
こんにちは。あるいはこんばんわ、みなさん。
前世は山形県民、現在はOケームショ国民だ。言うまでもないことだが、もちろん猫派。
突然だが、外の世界とケームショ世界の最も大きな違いを上げるとしたら、何を上げるだろうか?
当然様々な違いはあるだろうが、一番多い答えは「自由度」ではないだろうか。
受刑者の方々は常に身をもって体感しているだろうが、ケームショでは世界の理が違う。
ルールのレベルとそれを破った際のペナルティの確実性がケタ違いなのだ。
外の世界においても、法律以外に家庭や職場などで守るべき決まりが色々あると思う。
だが、それをレベル1とすると、ケームショのレベルは控え目に言ってレベル100だ。
例えば、ケームショにおいて何かの作業中にふと手元から視線を外したとする。
それを外の行為に例えると、突然警察官の目の前で『勇者のしるし』を全開にするのと同等のことになるのだ。
もちろん、そんなことをすればすぐに捕まるが、それはケームショも同じで、24時間監視世界のケームショではすぐに発見されてしまう。そしてこの世界特有にして最強の拘束魔法『チョーサ・チョーバツ』を発動されてしまうのだ(死亡一(いち)確(かく))
ケームショの生活というのは、例えるなら「賽の河原で猫(我々)が正座をしながら、再転生の時まで延々と石を積み上げていくようなもの」だ。積み上げた石というのは外の世界において全く価値のないものだが、この世界の中ではとても重要なものになっている。
ある程度崩さず積み上げている者には、月に1~2度、みんな大好き『ちゅ~る(ごほうびと言う名の餌付け)』が与えられたり、終盤においては再転生のリミットをいくばくか短縮する効果も持ち合わせている。
なので、前世では酒池肉林のかぎりを尽くしていた大悪党も、この世界ではちゅ~る欲しさに時給数円とか数十円にしかならない作業を粛々とこなしていたりする。
だが、ちょっとでも石を積む肉球をすべらせようものなら、今まで積み上げてきた石を全て蹴散らされ、拘束魔法『チョーサ・チョーバツ』によって身ぐるみをはがされたあげくに、最大60日間の“異空間束縛プレイ”が待っているのである。
もちろん、ハラスメント魔法の『トニカク・ド・ナール』もセットだ。
この世界では、それらのケームショ固有の魔法が強力すぎて抵抗も意味をなさないため、ほとんどの受刑者は「無力の学習」を経て皆“真面目”になる。中には、その程度の魔法には屈しないメタルスライムのような上級者もいたりするが、そんな彼らにはさらなる上位魔法『ホゴボー』や、もはや物理攻撃の『セーアツ』や『コーソクグ』、最終奥義である『マシケー』などがしっかり用意されていたりする。
さて、あまりこんなことを書きすぎると僕の積んでいる石も崩壊しかねないので、この辺で。
みなさん、素敵な異世界転生ライフを。
Good night.
令和5年11月1日