「心の雫」短歌10首 vol.4

凩の駆け抜ける日が多くなりました。今年もあとわずかですね。お元気でしょうか。オミクロン株に脅えていましたがワクチンを打っていますと重症化しないようで、ちょっと安心です。10月は運動会で盛り上がりましたが、あれからはや1ヶ月半、あっという間の年末です。今年を振り返りますと、私にとっての重大事件は、 

1.昨年11月からの鍵付きの雑居です。それまでは解放雑居だったのですが、コロナの影響でしょうか、男性刑務官の見回りの関係でしょうか、鍵付きとなり、廊下に出られなくなりました。 

2.「ほんにかえるプロジェクト」に入会できたことにより、世界が少し広くなった気がします。また中古本を購入できるという楽しみが増えました。 

3.4月に配食係となり、7月には察員となり、10月には班長となりました。 

4.プリズンライターのコーナーはまだ、とのことですが短歌を発表する機会を得たことも精神的に嬉しいことです。日記のような短歌ばかりですが、今生きていることを誰かに知ってほしい、そんな気持ちです。 

5.12月24日にクリスマス会があるのですが、その時サックスを聴くことができるそうで、これが楽しみです。 

 今年の事件はこんなところです。受刑生活、悪い部分も多々ありますが私の人生です。何か良い部分も見つけて一日を過ごしたいです。アフガニスタンで銃弾に倒れた中村哲さんの言葉の「照一隅」、あれから一年ですが、今でも心に残っています。一隅を照らす、そんな人間に私もなりたいと思っています。 

 寒さが厳しくなります。どうかお体を大切に、よいお年をお迎えください。  

 

短歌12首 

1.目の前の難事に一時蓋をして心の教室短歌(うた)へと替える 

2.保護猫も美男美女から売れゆくか見送る猫のまなこ厳しき 

3.柔らかき冬の光を背に受けて友と歩けばこぼれる笑顔 

4.元カレの手紙の束を積み上げて隣の人は愛を語れり 

5.トランプの手品見せれば歓声が心地良きかな獄舎の舞台 

6.香水もオーデコロンも無い世界リンスの香りが主張している 

7.冬の朝あかぎれの血を滴らせ生きる証と痛み耐えたる 

8.緑濃き深き葉波に埋(うず)もれて山茶花一輪刑庭に咲く 

9.訓練のひとつと思うディスタンス社会復帰のいろはとなれり 

10.コロナにて黙食ランチはあたりまえマスク無き身は盾なき戦士 

11.占いで余命聞きたる若き頃信じぬままに心に刻む 

12.一週間働き続けた我にくる褒美のごとき土日の読書 

 

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