「司書魂」

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「幕末の新撰組副長土方歳三の言葉と聞いて心に残っている言葉がありますが、その言葉の出典や真意を知りたいので検索をお願いします。気になっている言葉を便箋に別記しました。」このような依頼があった。

 便箋に書かれていることばの一部は、ネット検索で司馬遼太郎の「燃えよ剣」の中にあることだけは簡単にわかった。それだけ知らせて終わりにするつもりだった。ところが、昨日図書館に行く用事があり、つい図書館で「燃えよ剣」を手に取ってしまった!

「本当に書いてあるのか?」「どこに書いてあるのか?」知りたくて我慢できない。結局司馬遼太郎全集第6巻「燃えよ剣」を借りてきて、今日は朝から500ページを超斜め読み。

便箋に書いてあった文はあちこちに散らばって、見つかった。これは誰かが気に入った土方歳三の言葉を抜き出してまとめたものではないかと考えた。最後の3行はまとめた人が書いた結びの言葉かもしれない。その前の9行についてはそれらしき箇所が見つかったので、これでよしとした。

 

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私は長いこと小学校で司書をしていたので、ときに“司書魂”が発揮され、しつこく拘ってしまう。手紙も検索も溜まっているので、手早くこなさないといけないのに、「もっと知りたい」が止まらなくなる。司書時代に同業の集まる研修会で繰り返し言われていたこと…、

「利用者の知りたい、見たい、読みたいものは草の根をわけても探しだせ!」

このフレーズに背中を押されて、奇妙なタイトルのアダルト誌も必死で探してしまう。

あまり知られていないかもしれないが、図書館の最も大切な業務が「参考業務」、レファレンスだ。「“知りたい!”に全力で応えよ!」この習性が検索作業に生かされている?いや、もっと要領よくできない原因にもなっている。

 

図書館のレファレンスは憲法で保障された国民の「知る権利」を行使するために不可欠な業務である、なんちゃって!そこまでは意識していないけど、塀の中の人も「知る自由」を僅かばかりは享受してほしいと願っている。

ものは変転してゆく。そのなかで、万世に易(かわ)らざるものは、その時代その時代に節義を守った男の名だ。

ものは変転してゆく。そのなかで、万世に易(かわ)らざるものは、その時代その時代に節義を守った男の名だ。

「男の一生というものは」と、歳三はさらにいう。「美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている」

「男の一生というものは」と、歳三はさらにいう。「美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている」

目的は単純であるべきである。思想は単純であるべきである。  どうなる、とは漢(おとこ)の思案ではない。婦女子のいうことだ。おとことは、どうする、ということ以外に思案はないぞ。

目的は単純であるべきである。思想は単純であるべきである。

どうなる、とは漢(おとこ)の思案ではない。婦女子のいうことだ。おとことは、どうする、ということ以外に思案はないぞ。

時勢などは問題ではない。勝敗も論外である。男は、自分が考えている美しさのために殉ずべきだ、と歳三はいった。

時勢などは問題ではない。勝敗も論外である。男は、自分が考えている美しさのために殉ずべきだ、と歳三はいった。

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